任意後見とは「転ばぬ先の杖」。
簡単に言いますと、「判断能力が衰えた際に備えて、元気なうちから支援を約束しておく制度」です。
任意後見においては、後見人を選ぶことは勿論のこと、支援の内容を決めるのもご本人であり、任意後見は「契約」です。
従いまして、法定後見のように家庭裁判所のような第三者機関が関与しないのでは、いろいろと不安だろうと思います(後見人の不正など)。
しかし、任意後見制度においては、
冒頭にご説明したように、任意後見制度はご本人の判断能力にさほど問題がないうちから、支援する者(後見人)及び支援の内容を取り決めておく制度なので、契約した当初から契約の内容に沿って支援を開始(表現を変えれば強制)していくことは、成年後見制度の趣旨である自己決定権の尊重という理念からも反することになり、許されることではありません。
従いまして、任意後見制度は、予め任意後見契約を締結しておき、ご本人の判断能力が衰えた際に、ご本人から任意後見開始の要請があるか、若しくは親族や後見人受任者等の第三者がそれに気づき、家庭裁判所に対して任意後見監督人の選任を申立て、監督人が選任された時になってはじめて任意後見契約の内容に沿った支援がスタートする制度です。
任意後見監督人を選任するまでに(任意後見の開始)何年もかかったら、ご本人も後見受任者もお互いに顔を忘れてしまうなどの恐れがありますよね。
また、そもそも判断能力がなくなってしまったら、ご本人自らの意思で「任意後見をスタートして欲しい」という意思表示すらできません。
任意後見開始の前段階として(判断能力が十分なうちは)、後見受任者が定期的に訪問したり、電話でお話しなどをすることによって、ご本人の判断能力や健康状態・その他相談ごとなどを承り、言わばホームドクターの役割を果たす任意代理(「見守り契約」・「財産管理契約」)といった制度によって、任意後見開始までの間を支援することができます。